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  • 執筆者の写真三橋美穂

66. 睡眠は認知症予防の特効薬

(2014/05/01)



2か月前に、実家の父から「アロマオイルが欲しい」という電話がありました。父とアロマが全然結びつかない私は「???」でしたが、何でもテレビ「たけしの家庭の医学」で、認知症改善と予防にいいと紹介されたのだそうです。地元のお店では、どこも売り切れているとのこと。

番組で紹介されたのは、ラベンダー、レモン、オレンジ、ローズマリーの4種類と、そのアロマを嗅ぐためのペンダント。ネットショップと実店舗、どこを探しても、この4種類のオイルとペンダントは品切れです。

放送直後から、普段アロマショップに来ることがない高齢者が大挙して押し寄せて、それはそれは、すごかったそう。年に数個しか売れないペンダントまで完売。80歳近い父が、どうしても欲しくなってお店に出向いたくらいですから、インパクトのある内容だったのでしょう。

4種類の使い方は、こうです。

朝はローズマリー2滴とレモン1滴をブレンドして、午前中に2時間以上嗅ぐ。集中力を高め、記憶力を強化する働きがある。

夜はラベンダー2滴とオレンジ1滴をブレンドして、就寝1時間前から嗅ぎ始める。心身への鎮静作用があり、リラックスできる。

これらのブレンドオイルで嗅神経を刺激すると、海馬の機能が回復して脳が若返ると紹介されました。

スタジオ出演した鳥取大学医学部、浦上克哉教授の研究によると、認知症発症には嗅覚の働きが深く関わっており、前述のアロマによって症状が改善するケースがあるそうです。

この朝晩の香りは、高齢者だけでなく、12歳以上であれば誰にでも向いている、快眠にいい香りです。朝の香りで覚醒度を上げて、夜の香りでリラックスすれば、ぐっすりと眠れます。ラベンダーが苦手な人でも、オレンジを混ぜることで印象が変わり、万人向けの香りになりますので、試してみてください。

以前、知り合いのアロマセラピストから聞いた話しがあります。高齢者施設では眠れない人が多く、夜ラベンダーを焚いただけでは効果が上がらなかったけれど、日中にローズマリーを使って覚醒度を上げたら、とても効果的だったとのこと。夜の睡眠と昼の活動は、全体で考える必要があります。

また昨年、米ロチェスター大学の研究で、睡眠不足が認知症を招く可能性があることが示唆されました。日中の活動によって蓄積される脳の老廃物を掃除する役割を睡眠が担っていて、その老廃物のひとつが、認知症と関係しているベータアミロイドというタンパク質だったのです。

ベータアミロイドが長い年月をかけて脳内に蓄積されていくと、ニューロンの伝達システムが崩壊して、アルツハイマー病の原因になると考えられています。このベータアミロイドの蓄積を防ぐ唯一の手段が、睡眠。つまり、よい睡眠をとることが、認知症予防になるのです。

良質な睡眠のためには、アロマ以外にも、入浴やストレッチ、寝具などの睡眠環境に気を配ったり、睡眠覚醒リズムを一定にすることも大切です。

そのほか、30分以下の短時間の昼寝は、認知症発病のリスクが5分の1以下に軽減することもわかっています。昼寝で脳疲労が軽減し、その後の活動量が上がることで、夜間の睡眠にもよい影響があるのだと考えられます。 ただし、1時間以上の昼寝は、アルツハイマー型認知症のリスクを2倍に高めると指摘されています。昼寝が長すぎると夜間睡眠の質が悪くなるため、ベータアミロイドが蓄積されてしまうのでしょう。

昼寝のポイントは、深い睡眠(徐波睡眠)に入る前に起きること。55歳以下で20分以内、55歳以上で30分以内が目安です。時間帯は、午後3時までにとりましょう。

認知症予防は、高齢者だけが気をつけることではありません。若いときから睡眠を大切にする習慣が、人生を最後まで輝かせてくれるのです。 Have a good sleep !!


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