• 三橋美穂

115. 人はなぜネガティブな夢を見るのか

(2018/06/01)



今、3回連続で睡眠を改善していくセミナーを実施しています。その参加者の一人、60代の女性が、子どもの頃から悪夢で悩まされているといいます。悪夢にうなされることがなくなることが、彼女の希望です。

悪夢を見やすいピークは6~10歳頃と言われています。大人になるにつれて悪夢の頻度は減っていくのが一般的ですが、成人の2~8%は悪夢に悩まされているとされています。実は覚えている夢のほとんどは、ネガティブな内容だといわれています。途中で目が覚めてしまうほどの悪夢を含め、不快な夢や奇妙な夢など、楽しくない夢の方が圧倒的に多いのです。

誰しもレム睡眠中には夢を見ていて、起きた時には夢の記憶が薄れていることが多いのですが、もし覚えていたら、ほとんどの人がネガティブな夢を見ていたということです。夢は記憶の集合体。過去の記憶がつなぎ合わさって夢になると考えられています。人間は命にかかわる恐怖や不安は深く記憶に刻まれやすいので、夢の内容もネガティブなものになるのでしょう。

ハーバード大学のアラン・ホブソン教授は、夢のメカニズムを研究するため、自分の夢日記を300ほど記録したそうです。その結果、「夢に意味はない」という結論に至ったとのこと。そうセミナーで話したところ、別の参加者からこんな質問がありました。


「火事になった夢を見てうなされたとき、  夢占いで調べたら“吉夢”だと知って嬉しかったけど、  それにも意味がないっていうことですか?」 夢占いは絶対的な真実ではないので、それが自分を力づけてくれ、前向きになれるなら信じたらいいと思います。私も歯が全部抜ける夢を見たことがありますが、その後現実に不幸があったとか、よいことがあった記憶はありません。夢は「ただ夢」なのです。夢の内容に意識を注ぐのは、あまり意味のないことのようです。

朝、起きたときに浮かんでくる悪夢のシーンは、「光の消しゴム」で消してしまいましょう。レーザービームが当たったところが白く消えていくイメージです。私の場合、指を動かしながらやると簡単に消えます。このときのポイントは、感情を乗せないこと。「嫌だから、早く消してしまおう」とか、「不安だから、ないことにしたい」と焦っているときは意識がみぞおちに下がっているので、肯定的なイメージ力が働きません。意識を眉間に上げ、一枚の絵を客観的に眺めるように、レーザービームを当ててみましょう。指で眉間を軽くつつくと意識しやすくなります。

原因がはっきりしない繰り返し見続ける悪夢に対して、有効とされているのは「自律訓練法」です。手足の重みや温かさを感じながら、ゆったり呼吸をして、体をリラックス状態に導いていくメソッドです。やり方のガイド音声が、CDやYouTubeにアップされていますので、試してみてください。

また、夜間低血糖で悪夢を見やすいという報告もあります。低血糖は、血糖値がグンと上がった後、反動で急激に下がることで起こります。糖質の摂りすぎで、血糖値が安定しない状態です。夜間低血糖になると、血糖値を上げようとしてアドレナリンやコルチゾールなどが一斉に分泌されて、交感神経が興奮します。その結果、悪夢や寝汗、歯ぎしり、筋肉のこわばりが増えて、朝起きたときに、頭痛や肩こり、疲労感が残ってしまうのです。

夜間低血糖を防ぐには、夕食の糖質を極力少なくすることです。ご飯やパンなどの糖質を抑え、たんぱく質を増やしてみましょう。もちろん甘いデザートも控えましょう。

ひどい悪夢が原因で日常生活に支障をきたすようなら、レム睡眠を抑え、不安を和らげる薬物療法もあります。睡眠専門クリニックで相談してみてください。

それにしても、ほとんどの人が見る夢がネガティブなものだとしたら、気持ちが軽くなりませんか。セミナー参加者も、他の参加者の様々な悩みを聞いたり、自分の日中の気分は悪くないことを認識したら、「これでいいのかもしれない」と肯定的に受け止められるようになりました。そして、悪夢を見る頻度も少なくなったそうです。

睡眠はまだ研究の途上で、まだわからないことが多い分野です。夢となれば、なおさらです。夢に一喜一憂すことなく、眠ることそのものを楽しめる、あなたでありますように。

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