• 三橋美穂

125. 自己に誠実に生きる

(2019/04/01)



誠実さと健康には深い相関関係があることを、ご存知でしょうか。米ノートルダム大学で、こんな実験が行われました。「誠実なグループ」と「対照グループ」に分け、実験期間中、「誠実なグループ」には嘘をつくことを禁じ、常に正直であることを課しました。(ジョークはOK)そして公の場では真実のみを話す、または沈黙するを選択可能としました。

その結果「誠実なグループ」は、実験開始時に患っていた病気が大幅に好転したうえ、喉の痛みや頭痛、吐き気などの悩みが減少し、緊張や不満といったマイナスの感情も少なくなったそうです。一方、何の指示も与えなかった「対照グループ」の体調は、あまり変化がありませんでした。この実験を行った教授は、その後、真実のみを語る生活をしたところ、睡眠時間が短くなり、風邪も引かなくなったということです。

確かに嘘をつくと、それがバレたらどうしようという心配や不安を抱えているので、脳疲労が増大し、長い睡眠が必要になるでしょう。緊張によって血流が悪くなると、さまざまな病気のリスクも高まります。

実は以前の私は、言いたいことが言えず、自分の感情を抑え込んで、その場をやり過ごすというタイプだったので、喉が痛くなったり、声がかすれることがよくありました。挙句の果てには舌癌になって、しばらくの間まともに話せなくなってしまったのです。元に戻るのに、およそ2年かかりました。そんな体験もあり、この実験結果は「そうだろうなぁ~」と、しみじみ感じました。

私が自分の想いを表現できるようになったのは、「なぜ言えないのか」を探求するところから始まりました。 ・本音を言ったら、人に嫌われるのではないか ・自分の意見に共感を得られなかったら、能力がないことがバレてしまう ・無能な自分を知られたら、一人ぼっちになってしまうのではないか そんなことになるくらいなら黙っておこうと決めて、長い間自分を隠して生きてきたのが見えました。それと同時に、そんな風にオドオドして自信のない在り方でいるほうが嫌われるし、信頼されないと思えたのです。

一瞬、一瞬変化している自分の思考や感情を観察し、それらを誠実に扱っていると、洞察力はさらに深くなっていきます。

私が初めて腰痛になったときのことです。ギクッという激痛が走り、

「うわぁ~、どうしよう!!」という焦る感情と同時に、 「ちょっと、うれしいかも♪」と心の中で歓んでいる自分に気がつきました。


そのときの私は、腰痛で悩んでいる人はこんな感じなんだと、体験を共有できたことがうれしかったのです。深いところにそんな自己がいることに、自分でも驚いたことを覚えています。

これをポジティブシンキングにすると、こうです。

「腰痛になったからこそ、腰痛の人の苦しみがわかっていい体験になった。  痛みは辛いけど、これは貴重な体験だ」

ポジティブな理由を考える思考で感情を押し殺してしまうと、行き場を失った感情が心や体を蝕みます。以前の私の思考パターンはこうだったので、事実、病気になりました。

正直であることの例を、身近なところで見てみましょう。好みに合わず美味しくないプレゼントが届くことがありますよね。そんなときに「美味しくいただきました」と礼状を書いていないでしょうか。これは自分に不誠実です。相手をイメージしながら、伝えたいことは何かと自分に尋ねてみましょう。


「気にかけてもらえて、うれしい」 「季節を感じられた」 「ラッピングの美しさに、心が弾んだ」など、

嘘ではなく、誠実に伝えられる感謝の言葉があるはずです。それを表現すればいいのです。

何気ない日常の中でも、自分に正直に、誠実に生きる練習の機会はたくさんあります。誠実な言葉が創り出す場には、誠実な言葉が行き交い、会話のキャッチボールも楽しくなるでしょう。


睡眠不足だと洞察力が下がるので、まずはしっかり眠ってから練習を始めましょう。心身ともに疲れにくくなれば、睡眠時間が短くてもエネルギッシュに過ごせるかもしれませんね!