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  • 執筆者の写真三橋美穂

147. SDGsで睡眠が変わる

(2021/02/01)



年始休みの間に、雑誌『FRaU』のSDGs特集を2冊読みました。 SDGs(Sustainable Development Goals/エス・ディー・ジーズ)とは、2015年に国連サミットで採択された、持続可能な開発目標のこと。

「誰ひとり取り残さない」を合言葉に、貧困や飢餓、健康や教育、 気候変動 、ジェンダーなど、17項目のゴールを定めています。 それらを2030年までに達成するために、今、世界中で取り組んでいます。 数年前にSDGsのことを初めて知ったときには、私が理想としていた世界に向かって動き始めた!!とワクワクしました。 そして、今の世界がどう変化しているか、全体像を知るために最新号の『FRaU』を読みました。 17項目を達成するには、お金や経済システムの転換が一番の鍵になると、私は思っています。これまで通りの大量生産、大量消費に基づく経済システムを続けていれば、地球温暖化や海洋汚染、ごみ問題を解決することは困難です。 特集の中では、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の取り組みが紹介されていて、世界で始まっているポジティブな変化に力づけられました。その一例は、北欧の家電メーカーが始めた新しいビジネスモデルです。 それは、掃除機を消費者にレンタルして、掃除した面積に応じて料金を請求するという仕組み。掃除機を売って終わりではないため、製造工程でも最初からリサイクルを想定した素材を選び、分解や修理しやすい製品を作ることで、コストや資源の無駄をカットすることができます。 さらにレンタルする掃除機にはセンサーが付いていて、利用者が掃除した面積や部屋ごとの利用頻度、時間など、ユーザ行動が記録されるそうです。こうしたビックデータを生かすことで、より良い商品を作ったり、新たなサービスを生み出すことができるといいます。 ミシュランもタイヤを顧客に貸し出し、走行距離に応じて料金を請求するシステムを取り入れているそうです。こうした循環型のビジネスモデルに転換した企業の多くは、業績がアップしているといいます。日本のメーカーでも興味を持っている若手の技術者は多いそうで、今後の動向が楽しみです。 私がもう一つ興味を持ったのは、お金に関する特集号で知った、株式会社eumo(ユーモ)の取り組みです。 eumoが目指すのは「お金」ではなく「共感」が資本になる「共感資本社会」。スマホ決済ができる共感コミュニティ通貨をつくり、そのコミュニティに出店しているお店で買い物した人が、お店の想いやサービスに共感すると、商品代金以外にチップやメッセージを送ることができます。ファンとの交流を育むことができる、まさに共感が循環するコミュニティ。 しかもチャージした通貨には、使用期限が設けられています。 貯めるお金から、循環するお金へ。 「幸せになるための手段」とお金を再定義した、新しい電子マネーの誕生です。 価格競争により犠牲になりがちな「生産者」の立場を強くし、共感を基礎として活動していける社会に、そして既存の「お金」から人間を解放しようという、壮大な事業にeumoは取り組んでいます。 「共感が資本になる社会」であったら、人々がお金の不安や支配から解放され、人の優しさや親しみが表現される温かい社会のイメージが湧いてきて、胸が高鳴りました。 そしてeumoの社長、新井和宏さんが2019年に行った「SDGsフォーラム」の動画を見ていたら、さらにSDGsへの理解が深まりました。 貧しい家庭で育った新井さんは、お金があれば幸せになれると思い、大学卒業後、外資系の金融マンになり、何千万、何億と稼ぐ人たちと一緒に働いてきましました。でも、みんな幸せそうではなかったといいます。つまり、お金が人を幸せにしてくれるというのは幻想でしかなく、お金は手段であって目的ではないことが明確になったそうです。 新井さんは、こう言っています。 「世の中の多くの問題は、手段と目的を履き違えた時に生まれる。 何のための利益なのか。何のための会社なのか。 会社の存在意義そのものに立ち返らない限り、会社のSDGsはわからない。あなたは何のために生きているのか。SDGsはそれを問われている」 「利益を追求するのが大事ではないと言っているのではなく、もっと大事なことが存在するのだということ。順番を間違えると、経営が狂う」 「SDGsの本質は、17項目中の何番をやろうということではない。本気でやっている人たちは、自分たちが環境や地域に配慮して、結果的にやっている行為が、この17項目の中に当てはめると何番だということ」 こんな当たり前のことが、この地球上で達成できていないことに驚いてください。だからみんなで手を取り合って、やっていかなければならない。ビル・ゲイツが一人で巨額の富を慈善事業につぎ込んでも、世界はよくなっていない。みんなで2030年までにこれを達成しようと取り組むことが大切なんです 彼の揺るぎない立場と静かな情熱が私に伝播し、 このエネルギーを私も分かち合いたいと思い、この文章を書いています。 そして、世界で起こっている実例をもう一つ紹介します。 イタリアのソーシャルバンクでは、預金するときに融資先を選べるそうです。しかも、金利は上限から0%までを選べる。金利を0%にすると融資金利が0%になるので、融資先をさらに応援することができます。 世界は、社会は、もう変わり始めているのだと実感しました。 すべての人が幸せで、安心して眠れる社会まで、もう少しです。 そして今年は、SDGsをより意識した、意図的な行動と選択を心がけたいと思います。



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