top of page
  • 執筆者の写真三橋美穂

153. 夜の遊興業界にも健康を

(2021/08/01)



先日、新宿の歌舞伎町でホストの方々に向けて、睡眠セミナーを行いました。ホストクラブの世界は何か特別なイメージを持っていましたが、みなさん一生懸命に生き、成長しようとしているのが伝わってきて、自分の中にあった壁がなくなりました。



最初に依頼があったとき、引き受けることを迷いました。昼夜逆転の生活で、しかも仕事上お酒が欠かせないので、本質的な睡眠改善は難しいからです。

そのような中でもできる帰宅後の過ごし方や、睡眠への影響を減らすお酒の飲み方をレクチャーすることにしました。



まず、昼夜逆転が睡眠になぜよくないのか。日中に太陽光をしっかり浴びておくと、夜になって睡眠ホルモンのメラトニンが分泌され、睡眠の質向上につながることがわかっています。明け方から昼過ぎまで寝ていると、太陽光を浴びる時間が短くなります。するとメラトニンの分泌が減るため、睡眠が浅くなってしまうのです。



できるだけ早めに寝て、起床後のスマホはベランダや窓際ですることを勧めました。コロナ禍でリモートワークをしている人も、太陽不足になりがちです。1日30分以上太陽光を浴びる生活を心がけましょう。



そしてアルコールが睡眠の質を落とすことは、多くの人が知っていると思いますが、中途覚醒の原因になるのがお酒です。アルコールが分解された後、交感神経が刺激されて目が覚めて、そのあと眠れなくなり、睡眠の質は確実に低下します。



お酒の影響をなくすためには飲まないのが一番ですが、できるだけ影響を減らす方法としては、飲む前に脂質、タンパク質、食物繊維をとることです。

それによって、アルコールの吸収を緩やかにすることができるからです。具体的には、チーズ、ナッツ、納豆、きんぴらごぼう、切り干し大根などがあります。

また、お酒と交互に同量の水を飲むのも、よい方法です。



セミナー後に、

「サウナに入るとお酒が抜けてよく眠れるが、問題ないか?」と質問を受けました。

飲酒後のサウナは脱水症状になりやすくて危険なので、控えた方がいい旨を伝えつつ、根本的な対策はないだろうかと考えながら帰途につきました。



そして閃いたのは、

「お酒に代わる超高級ドリンクができたらいい!」

というアイディアでした。



そもそも、ホストの方々が楽しい時間を提供する代わりに、お客様はお酒を通して対価を支払っているわけです。究極は、そのサービスに対してお金を払うという仕組みに社会全体が変化していくことですが、まだ物質的なものに価値があるという意識や慣習が残る現代では、その間をとるのが現実的でしょう。



少し調べたら、ワインボトルに入った33,000円の高級紅茶、27,500円の高級日本茶などがありました。そのことを後日セミナー担当者に伝たら、こんな返信が。


> お酒に代わる高級ドリンク、とても面白いですね!

> 世の中体に良いものがどんどんどんどん出てきていますので、

> ホストクラブ業界にも浸透したら良いなと思いました。



このように少しずつ変化していって、夜の遊興業界も健康的になっていくことを願っています。現に、ホストクラブで睡眠セミナーを開催することは、10年前には考えられなかったと思います。ホストクラブ業界も福利厚生がしっかりしてきたことに、時代の変化を感じました。



この先、経済システムがトランスフォームし、誰もが安心して暮らせる社会になったら、ホストクラブ業界の在り方もマイルドになっていくでしょう。

これからどう変化していくか、見守っていきたいと思います。

bottom of page