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  • 執筆者の写真三橋美穂

4. 本質へアクセスする

(2009/03/01)



今、ホテルが快眠に注目して、寝心地のいいベッドや枕を導入することに力を注いでいます。これまでは、家具やカーテン、アメニティなど、目に見えるところが重視されていました。写真に撮ってもベッドの寝心地や優劣がわかるわけでもないので、マットレスや枕の質に関しては無関心だったのです。

しかし昨今は、見た目の印象も大切だけど、ホテルの一番の目的である「心身を休め、快適に過ごす」ために重要なのは寝具である、という認識が高まってきました。これは、ほとんどの顧客のニーズが、本質を抜きにしては本当の満足は得られないということに、気づき始めたからでしょう。

去年、ある人と話しているときに、こんなことを言われました。

「ドクターや研究者が書いた睡眠関連の本を読んでいると、どの本も根本は同じことが書いてあるけど、三橋さんだけは違った。失礼ながら、三橋さんのような後ろ楯がない人がこれだけ取材を受けるのは、マスコミの人たちが三橋さんの中に、今までとは違う新しい何かを、敏感に察知しているからではないか」と。

確かに私は医師免許はもちろん、何かの資格があるわけではないし、認定も受けていないし、団体にも所属していません。はっきり言って肩書として名乗れるものは何もなく、あるものといえば、自分で名付けた「快眠セラピスト」だけです。

これまでの時代は、卒業証書や認定証の有無や、外側からのお墨付きが、どれだけあるかで人を評価・判断してきました。私もかつては資格を取り、団体に所属することを考えていたことがあります。それを私のアドバイザーに相談したら、「どうして、そうしたいと思ったの?」と聞かれました。

その時、静かに自分の内側を観察してみると、それは自分自身に対する自信のなさからきていることに気づきました。外側からのお墨付きがあることが価値があり、他の人からも信頼してもらえるのではないかと。

これは全くの幻想でした。

自分の自信のなさを補うためにお墨付きを欲しがっている私を、仕事のパートナーとして信頼し、推薦してくれる人がいるでしょうか。本質を扱わないまま上辺だけの仕事をしても、今という新しい時代を創作的に生きることは難しいと思います。

そのアドバイザーに言われたことは、 「自分を探求しながら、そのままのあなたを表現していたら、これまでとは質が違う、新しい仕事の依頼が増えてきますよ」でした。

そう、私に必要だったのは、自分に自信を持って、自分自身を認めることだったのです。以来、その練習をしながら、ここまで来ました。

まさに、今の時代に必要なことは、表面的な、見てくれの工夫だけではなく、本質は何か、その本質を表現するにはどうしたらいいか、と取り組むことだと思います。

人が活動をして何かを得、成果をあげるためには、その活動から得られる成果の質を探り出すことが効果を生み出します。例えば「お金を得る」という成果が欲しいのであれば、その根っこにある関心ごとは、何からきているのだろうと、深く自分を観ることです。

“眠りの達人”としてのアクセスは、まず、静かな時間を持つことから得られる、静かなマインドでの入眠です。 そして今、本質としてのこの眠りが、必要とされているのです。

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