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  • 執筆者の写真三橋美穂

56. プラ寝タリウムで快眠

(2013/07/01)



先日、セガトイズ社の家庭用プラネタリウム「ホームスター」に快眠効果が認められたという実験結果が発表されました。脳波分析と、免疫ホルモンを指標としたリラクセーション効果を解析した結果、

(1)寝つきがよくなる (2)眠りが深くなる (3)寝起きがよくなる

ことがわかったそうです。特に(2)は、ノンレム睡眠ステージ3~4の徐波睡眠という深い眠りが、平均30%も伸びたとのこと。新陳代謝を高めて疲労を回復する成長ホルモンは、徐波睡眠が合図となって分泌されるので、しっかり疲れも取れて目覚めがよくなったのでしょう。徐波睡眠をとるためには、寝つきがよいことが大切です。

私は以前からホームスターに注目していて、初めて知ったときに、「これは快眠にいい!」と直感的に思いました。星空を眺めると自然に意識が拡大して、リラックスできるからです。最近はパソコンやスマートフォンなどを見る時間が長く、視点が近くのものに向けられています。人の意識は、近くを見るときに縮みやすく、遠くを見るときに広がりやすいという特徴があるので、日常的に星空を眺めることは、リラックス方法としておすすめです。

また、星空を眺めていると、宇宙の大きさに比べたら、自分の悩みがちっぽけなものに感じられてきます。頭の中の思考や感情が静かになってきて、心の平安と落ち着きを取り戻すことができます。

ホームスターは発売当初から「よく眠れるようになった」というお客様の声が多く届いていて、これは開発者の意図ではなかったので戸惑いもあったそう。家庭でも手軽に星空を楽しめることが目的であって、よく眠れるように考えて制作したわけではなかったからです。それが実証までされて、まさに瓢箪から駒。こんな風にヒット商品は誕生するのですね。

ホームスターの快眠効果のことを知人に話したら、「持っているけどすぐに使わなくなってしまって、今は押し入れの中。そんな効果があるなら、もう一度使ってみようかな」という返事が。最初は星空の広がりに感動したけれど、「こんな感じなのね」とわかったら、興味がなくなってしまったのだとか。

私のお勧めの使い方は、星空を眺め、宇宙との一体感を感じながら、自分に静けさを与えることです。私たちのマインドは、いつも何かを考えずにはいられないほど、頭の中はうるさいもの。星空に意識を集中して、身体の力を抜き、ゆっくり深呼吸をくり返していると、だんだんマインドが静かになっていくことを体験できるでしょう。呼吸のリズムで、宇宙のエネルギーが自分の身体を循環しているイメージをもつと、さらに気持ちよく眠りにつくことができます。

施設のプラネタリウムでも、大人がぐっすり眠ることをテーマにしたイベントが好評で、兵庫県明石市にある天文科学館の呼びかけで、「日本プラ寝たリウム学会」まで設立されたそう。「熟睡プラ寝たリウム」というプログラムでは、BGMは虫の音、学芸員の解説もささやき声。自分の枕や毛布を持ち込むことができ、眠った人には「熟睡証明書」、一睡もしなかった人には「完徹証明書」が贈られたそうです。

では、プラネタリウムに行くと眠くなるのは、なぜでしょうか。宇宙や天体への知的好奇心があれば眠くなりませんが、そうでもなければ、大抵は眠ってしまいます。

これは、本来の自分は宇宙と一体であることを知っているセルフ(魂)は「広がりたい」という欲求を持っているのに、個としての自分(エゴ)がそれに抵抗するからだと思います。眠ってしまえば抵抗がなくなるので、意識が遠のいていくのでしょう。私も以前はプラネタリウムに行くとよく眠っていましたが、今は眠らなくなりました。

ぐっすり眠ってもいいクラシックコンサートも、ときどき開催されることがありますが、こういう時の一番の妨げは、先に熟睡した人のイビキだったりします。これは早く寝た者勝ちですね! これからの夏は、キャンプなどで天体観測の季節。宇宙との一体感を感じながら、最高の眠りを味わってみてください。

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