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  • 執筆者の写真三橋美穂

63. 頭の中に静けさを

(2014/02/01)



先日、朝日新聞社主催の【朝日 健康・医療フォーラム2014】「満足できる睡眠のひけつ」に登壇しました。平日の昼間とあって、眠りに悩む高齢者を中心に、会場は満員。みなさん真剣に聴き入っていました。

高齢者に不眠が多い理由のひとつは、時間に余裕があるため、床にいる時間が長すぎること。必要な睡眠時間は短くなっているので、眠りが浅くなってしまうのです。夜10時就寝、朝7時起床、布団の中には9時間、こういうケースは珍しいことではありません。この場合は、実際に眠っている時間プラス30分だけ、床にいるように指導します。

また、睡眠に悩む人は、真面目で、いろいろ考えすぎるという特徴もあります。今晩も眠れないかもしれないと思うと、寝室に入るのに恐怖を感じることも多いのです。こういう時は、 「眠くなってから床につく」 「眠れないときには一旦寝室から出て、眠気がきたら床につく」 という指導が、睡眠改善の基本ルールです。

そこまでひどい不眠でなければ、思考を鎮める練習をすることを、私はお勧めしています。私たちのマインドは、朝起きた瞬間から、ザワザワと絶え間なくいろんなことを考えていますから。私は、睡眠中も頭が騒がしいと感じることが、時々あります。

思考によるエネルギー消費量は膨大なもので、大脳の重さは体重の2%ですが、脳のエネルギー消費量は18%にも及びます。脳の栄養はブドウ糖なので、精神的な疲労を感じると、つい甘いものを食べたくなります。頭が騒がしいと脳温が下がらずに眠れなくなるうえ、太りやすくもなるのです。

そんなときに、お勧めの方法を3つお伝えします。

<その1> 手のひらを見つめる 体はリラックスして、自分の手を机の上に置き、手のひらを見つめます。目で見るのではなく、眉間に意識を置いてそこから眺める感じで。 いろんな思考がよぎっても、その考えを川に流すようなイメージで、出てきたものは流す、出てきたものは流す、これを繰り返します。すると、だんだん思考が鎮まって、頭が軽くなってきます。 見つめる対象は何でもよく、雲を眺めたり、星空を眺めるのもお勧めです。

<その2> 悩める自分を写真に撮って客観視する  心理学の手法で、「ビルの屋上から、下を歩いている自分を眺める」というのがあります。こんな風に自分を俯瞰して客観視できると、悩みも小さくなって、頭の中も静かになっていきます。 イメージしにくい場合には、悩んでいる自分を携帯の写真に撮ってみましょう。それをぼんやり眺めながら、悩んでいることがバカバカしくなってきたらしめたもの。気持ちが軽くなります。

<その3> 頭に「ム~」を響かせる ヨガで使われる「オーム(AUM)」というマントラム(聖なる言葉)。 ア(A)の音を唱えると脊椎の最下部が振動し、ウ(U)の音はハートチャクラが振動します。そして、ム(M)は頭が振動する音。 両手の人差し指で耳の穴をふさいで、「ム~」を頭に響かせてみましょう。息継ぎをしながら、1~2分やってみてください。指を離した瞬間に、頭の中がシーンと静かになっていることを体験するはずです。

その静かなマインドを味わいながら、眠りに入りましょう。脳の消費エネルギーが減少し、セーブされたエネルギーが身体のメンテナンスに使われて、心身ともに健康になり、気持ちよい朝を迎えることができます。


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