• 三橋美穂

72. 自分で睡眠の舵を取る

(2014/11/01)



このところ毎日忙しく、あっというまに時が過ぎていきます。とくに月末は仕事が立て込んでいて、先日はパソコンをオフにしたのが午前3時、就寝は3時半という日がありました。PCメガネをかけていたとはいえ、ディスプレーを長時間眺めていたうえ、明け方の体温が上がり始める時間に就寝ですから、なかなか眠れませんでした。

翌日は午前中にアポがあり、7時半には起床しなければなりません。大切な面談だったので、ぼんやりした状態でいるわけにはいかず、就寝から1時間たっても眠れないことに少し焦り始めました。

そのとき、ふと思ったのです。

「あと3時間ある。  私はこの3時間の睡眠でエネルギーをチャージできる」

そうしたらスーッと眠りに就けて、起床時はいつものように目覚めることができました。普段は7時間くらい眠る私なので、爽快というほどではないにしろ、睡眠不足で体が重いとか、頭がぼんやりすることなく、一日を過ごすことができました。 自分の身体は、思考と感情が一致した意識によってコントロールできると感じた体験でした。

また先日、取材のときに、こんな質問を受けました。

「やっぱり理想は朝型ですよね?」

もちろん早寝早起きは健康によいことですが、理想は一人一人が決めることだと思っています。

私はもともと夜型でしたが、あるとき朝型に変えたことがあります。夜10時半に就寝して、朝6時に起きる生活を半年以上続けました。 確かにこのときは、朝スッキリ起きられ、体調もよく、朝型は気持ちいいと感じました。でもこれは、朝型であることが一番の原因ではなく、自分の意志で朝型にコントロールできていることに満足があったのだと思います。

睡眠研究のキャリアが長い臨床医に、理想的な睡眠の時間帯を尋ねると、決まって「その人のライフスタイルの中で決めたほうがよい」と言います。

もし時間を自由に調整できる場合、睡眠時間が同じ6時間なら、例えば、午前1時から7時より、午後11時から午前5時に眠るほうが、健康によいかと尋ねたのですが、時間帯にこだわるよりも、毎日の就寝と起床時刻が安定していることの方が重要だと言います。

就寝・起床時刻がバラバラだと、毎日が軽い時差ぼけ状態になるため、疲労感や頭重感、日中の眠気、眠りが浅いなどの症状があらわれます。夜型であっても、毎日のリズムが揃っていて、適度な睡眠時間を確保していれば、よい健康状態を保つことができるのです。

最近の私の睡眠は、就寝が夜12時~1時の間で、起床は7時半というリズム。就寝間近まで仕事をしているせいか、以前と比べて寝つきの時間(入眠潜時)は長くなったと感じますが、自己評価は80点くらいです。もう少し時間に余裕があれば、90点以上にできる自信はありますが、今のライフスタイルの中では満足しています。

理想の睡眠とは、型にハマった万人向けの理想形あるわけではなく、一人一人がつくるもの。あなた自身が「この眠りでよし」と思えることが、睡眠の満足度を上げます。

実際に、天才肌の人たちは睡眠も個性的。 アインシュタインはロングスリーパー、ビル・ゲイツはショートスリーパー、スティーブ・ジョブズは4時間睡眠を2回とる分割睡眠者だったといいます。

睡眠に振り回される人生から、睡眠を道具として使う人生に転換してみませんか。主体はあなた自身。軸がゆらがずに生きることが、人生を充実させる秘訣です。