• 三橋美穂

97. スリープ・レボリューション

(2016/12/01)



睡眠は大切だとわかっていても、忙しくて眠る時間がとれない。ビジネスパーソンや、ワーキングマザーから、よく聞く悩みです。先日発表された、2015年の国民健康・栄養調査では、睡眠時間が6時間未満と短い人が約4割。調査開始以降、日本人の睡眠時間は減り続けています。

最近の私の睡眠時間は6~7時間ですが、昨日読んだ本に刺激を受けて、1か月間8時間睡眠にチャレンジしようと思っています。その本のタイトルは『スリープ・レボリューション』(日経BP社)、著者は米ネットメディア、ハフィントンポストの創設者アリアナ・ハフィントンさん。“睡眠の伝道師”と呼ばれています。

彼女はギリシャ生まれのジャーナリストで、2005年にハフィントンポストを創設しました。現在は日本を含む、世界16か国で開設しています。事業を成功させるため、がむしゃらに働いていた彼女は、サイトが軌道に乗り始めた2007年に、自宅のオフィスで気を失いました。意識が戻ったときには血の海の中で、頬骨を骨折する大けがを負っていたそうです。

事故の前は、「私はずっと、夢遊病のような状態にいた」と書いています。疲れていない状態がどんなものか忘れてしまい、自分が疲れていることがわからないほどの、疲労レベルだったそう。

彼女は事業を興す前の子育て中のときにも、充分な睡眠をとることは、子どもたちと過ごす時間を奪うこと、子どもたちのために翌日の準備をする時間を奪うことだと思っていたそうです。しかし、実は本当に奪っていたのは、子どもたちと「一緒にいる彼女自身の力」だと、後に気づいたと述べています。4~5時間の睡眠で意識に霧がかかった状態から、7~8時間睡眠にシフトしたら、自分自身とも他者とも、より深くつながれるようになったといいます。

現代の成功は、お金と地位とパワーという物差しで測られていますが、その定義をもっと広げて、健康や幸福、知恵、胸躍るような驚き、与える力なども含めて成功というものを考えると、生活はもっと豊かになると。職業や外見や口座残高といった表向きの自分(ペルソナ)と完全に同一化しているとき、人生のもっと深い部分に対しては眠ってしまっている、とも述べています。

私たちは成功するためには、もっと精力的に働かなくてはいけない、常に戦い続けることが必要だと、思い込んできました。だから刀を置くことができず、睡眠とも戦ってしまうのだと。

先日、雑誌の取材を受けたときに、担当編集者の20代の男性が、いつも睡眠不足で頭が朦朧としているといいました。平日はなかなか仕事が終わらないので3~4時間睡眠で過ごし、休日は20時間くらい眠るのだそうです。彼は取材を通して、睡眠を優先することの価値の大きさに気づき、 「勇気をもって、今日から眠ります」といって、帰って行きました。

現代は、眠ることに勇気がいる時代なのかもしれません。やるべき(と思っている)ことを中断したら、自分の評価が下がったり、落ちこぼれるのではないかと不安になるのも分かります。勇気をもって睡眠を充分にとってみたら、仕事がはかどらなかったのは、睡眠不足で思考や意思決定能力、創造力が低下していたからだと気がつくでしょう。


眠りは、自分自身の力を信頼して、 結果への執着を手放すことを私たちに教えてくれる

と、著者はいいます。

まさに自分自身と宇宙を信頼して、“無執着”を学ぶ機会です。睡眠はしっかりとって、残りの時間でやるべきことはやる、やらないことはやらない。毎日優先事項を見直しながら、自分にとって何が今、最も大切かを考えましょう。

そして、自分自身と向き合っている中で、本当に必要なのは“心の静寂”であって、時間ではなかったことにも気づくでしょう。静寂とは、しばし立ち止まって深い自己とつながる能力だ、とあります。

まさに、スリープ・レボリューション!!

本書は、睡眠の科学的根拠に基づいた情報のほか、瞑想ガイドや睡眠に力を入れているホテルの紹介なども載っていて、とても読み応えがあります。 今、一番おすすめの一冊です。

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