199. その不調は睡眠時無呼吸症候群?!
- 三橋美穂
- 6月5日
- 読了時間: 4分
(2025/06/01)
最近、こんなことはありませんか?
□ 大きないびきをかく
□ 夜中に何度も目が覚める
□ 寝汗がひどい
□ 睡眠中に喉がかわく
□ 寝起きがスッキリしない
□ 大事な会議なのに眠ってしまう
□ やる気がでない、集中できない
これらは 睡眠時無呼吸症候群(SAS) が原因かもしれません。
SAS(Sleep Apnea Syndrome)は、睡眠中に何度も呼吸が止まってしまう病気です。
SASには2種類あり、約9割は寝ている間に喉の筋肉がゆるみ、気道がふさがることで起こる「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)」。また、脳から呼吸の指令が出ないことで生じる「中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)」、その混合型もあります。
怖いのは、本人が気づかないことが多いという点。家族に「いびきがうるさい」と言われたり、「息が止まっていた」と指摘されることで初めて気づくケースも珍しくありません。「ちょっと寝苦しいだけ」と思っていると危険です。SASにはさまざまなリスクがあるからです。
気道が塞がって呼吸が何度も停止することで、酸素飽和度が低下し、脳も酸欠状態になります。すると脳に酸素を送り込もうとして、心拍数も血圧も上昇。これが繰り返されることで、高血圧、心筋梗塞、脳卒中のリスクが高まります。睡眠の質が下がることで、日中の眠気が強くなり、ミスや事故につながります。そして、慢性的な疲労で心も体も不調に…。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の人は、そうでない同年代の人と比べ、新型コロナに感染するリスクが8倍高かったという報告もあります。さらにOSAの男性は、コロナ後遺症を発症するリスクが59%高くなり、女性にいたっては89%も高かったそうです。SASは万病の元といっても過言ではありません。
自分がSASかどうか簡単に見分ける方法を紹介します。
【SASを見分ける方法】
口を大きく開けて、舌を「あっかんべー」のように強く押し出したとき、口蓋垂(のどちんこ)が見えるかどうかで判断します。
口蓋垂がはっきり見えれば大丈夫。逆に「まったく見えない」「根元がかろうじて見える」人は、SASを疑ってみてください。
口蓋垂が見えないのは、肥満や下あごが引っ込んでいることと関係しています。SASになりやすい人の特徴は、
・肥満
・あごが小さい
・舌が大きい
・鼻が曲がっている
・加齢
・女性ホルモンの減少
そのほか、アルコール、たばこ、口呼吸などでも、SASのリスクが高まります。
女性ホルモンは上気道を広げる作用があるため、閉経後の女性はSASが増えます。SASの人は太っているというイメージがあると思いますが、痩せていてもあごが小さいなど骨格的な影響があると、軽症のSASになるケースがあるのです。
「SASかもしれない」と思ったら、まず検査をしましょう。医療機関で泊りで行う「精密検査」の前に、自宅で行う「簡易検査」をして重症度を調べるのが一般的。クリニックに行かずともネットで申し込みができ、簡易検査キットを送ってくれるところもあります。【睡眠時無呼吸 検査】で検索してみてください。
治療法は主に2つ。
1)CPAP治療(シーパップ)
中等症以上のSASでは、就寝中に鼻にマスクをつけて空気を送り込むCPAP治療が一般的。「使った初日から熟睡できた」という人も少なくありません。
2)マウスピース
軽症の場合は、歯科で作る「スリープスプリント」というマウスピースも効果的です。下あごを前方に固定して空気の通り道を開くようにする治療法です。
治療が必要なSASの患者数は900万人と推定されており、みなさんが思っている以上に身近な病気です。実際に治療をしているのは80万人程度で、実に9割以上の人はSASを見過ごしているのです。
SASを治療した人たちからは、こんな声を聞きました。
毎日体がだるく、意欲もなくなり、生きているのさえ辛かったという男性は、自分はうつ病だと思っていたそうです。心療内科や精神科を受診しても改善しなかったけれど、SASが関係しているかもしれないと言われ治療したところ、劇的に効果があったそうです。世界が変わった!!と感動していました。
別の男性は、頭のモヤが晴れて、日中の眠気もなくなったそうです。車で出かけると、必ず途中で仮眠をとっていたけれど、「今はまったく眠くなりません。シーパップ最高です!」みんなに勧めたいと言っていました。
「ただのいびき」と思わず、気になるサインがある人は、ぜひ早めに医療機関に相談してみてください。正しい呼吸で睡眠の質を上げ、健康な心と体を作りましょう。
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