201. 脳の“警戒モード”を解除!睡眠を伸ばす方法
- 三橋美穂

- 8月1日
- 読了時間: 3分
(2025/08/01)
先日、ある企業で睡眠セミナーを行ったとき、50代の女性から、こんな質問を受けました。
「子育てで忙しくなった頃から、5時間睡眠になりました。時間に余裕ができた今、もっと眠りたいのに5時間でパチッと目が覚めてしまいます。このままでいいのか、もっと眠った方がいいのでしょうか?」
忙しくなる前はどれくらい眠っていたのか質問したところ、7時間くらいだったそう。本来もっと寝たいのに、脳が5時間で強制的に覚醒するパターンを学習してしまった結果といえます。
忙しい時期に強いストレスや緊張状態で短時間睡眠を続けると、覚醒システムが過敏になります。たとえ自覚がなくても、脳が「眠りすぎると危険」という状態を記憶しているため、途中で目が覚めやすくなるのです。
多くの人が生理的に必要な睡眠時間は 7~8時間程度。5時間睡眠が続くと、たとえ日中ある程度動けていても、脳や身体は慢性的に睡眠負債を抱えることになります。これが続くと認知機能の低下、免疫力の低下、高血圧や脂質異常症などの心血管リスクが増加することがわかっています。
実際に「短時間睡眠でも平気に見える人」がある日突然、体調を大きく崩すケースは珍しくありません。「今動けている=睡眠が足りている」ではない、ということを覚えておいてください。
では、どのように改善したらよいか。
脳の“警戒モード”を解除して、睡眠時間を段階的に伸ばしていきましょう。
脳の“警戒モード”を解除するには、就寝2時間前から部屋の照明を暗めにして、30分前にはスマホをオフに。深呼吸・ストレッチ・軽いヨガ・瞑想などをルーティン化しましょう。
簡単にできて睡眠時間を伸ばす効果が期待できるのは、「筋弛緩法(きんしかんほう)」というリラックス体操。体の部位ごとに力を入れて、ストンと抜いていきます。動画で解説していますので、見ながらやってみてください。
【筋弛緩法でリラックス】(YouTube)
睡眠時間を伸ばすときは、いきなり7時間を目指さないこと。起床時刻は固定して、1週間ごとに30分ずつ段階的に伸ばしていきます。
例えば、起床時刻が6時の場合
1週目: 0時30分就寝 ⇒ 6時起床(5時間半)
2週目: 0時就寝 ⇒ 6時起床(6時間)
3週目: 23時30分就寝 ⇒ 6時起床(6時間半)
4週目: 23時就寝 ⇒ 6時起床(7時間)
上手くいかない場合は、もっと短く「15分ずつ」伸ばしてみてください。起床時刻を遅くしたい場合は就寝時刻を固定して、起床時刻を段階的に遅らせていきます。
そのほか、日中の活動量や光暴露量を増やしたり、午後3時以降はカフェインを控える、昼寝はしないことも意識してみてください。
そして、寝床でのスマホやテレビは避け、寝床を睡眠以外に使わないようします。「寝床=眠る場所」という条件付けを強化しましょう。これで「安心して眠って大丈夫!」という脳への再教育は完了です。
「こんなにぐっすり眠ったのは何年ぶりだろう」
そんな睡眠が訪れることを願っています。
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