205. 冬に温めるべきはどこ?! 深部体温と皮膚温の関係
- 三橋美穂

- 12月1日
- 読了時間: 3分
(2025/12/01)
夜間の冷え込みが厳しくなってきたこの頃、
「布団が冷たくてなかなか眠れない」
こんな悩みを持つ人が増えてきています。
睡眠中には「深部体温が下がる」と聞いたことがあると思います。体が冷えると深部体温は下がっていそうなのに、なぜ眠れないのでしょうか?
実は、皮膚温が下がると深部の熱が内側にこもってしまうので、深部体温は下がらないのです。逆に手足がポカポカして皮膚温が上がったときは、深部の熱は皮膚表面に移動します。深部体温は下がり、眠る準備が整います。
ですから、布団に入ったときに「ぬくぬくして気持ちいい」環境をつくることが、入眠しやすくなる条件です。その温度とは、人肌程度の約33℃。温めすぎても、冷たすぎても、よくありません。
とくに冷え性の人は、温度管理に注意を払うことが重要です。布団が冷たいと体の熱が奪われてしまうので、心臓から遠い足先は、氷のように冷えてしまいます。寝る前に、ふとん乾燥機や湯たんぽで、寝床内を温めておきましょう。電気毛布を使うときは、寝るまでは中程度に温めておき、就寝時に切る、または弱にしましょう。
寝るときの体はどこを温めたらよいかといえば、まず「お腹」。お腹には腹部大動脈などの太い動脈があり、下半身に流れている動脈の元になっています。つまり、お腹を温めることで、下半身の冷えを緩和できるのです。腹巻をして温めましょう。
それでも足先が冷たい時は、レッグウォーマーを着用しましょう。靴下の場合は、締め付けが強いと逆効果。血行がわるくなってなかなか温まりません。ゆるめのもので、つま先が開いていると放熱もスムーズで、深部体温が下がりやすくなります。
パジャマを選ぶときは、生地の保温性だけでなく、首、手首、足首がすぼまっているデザインを選ぶと冷気の侵入を防ぎ温かく眠ることができます。この3カ所は筋肉が少なく、太い血管が皮膚表面を通っているので、とくに温めるとよい部位です。
さらに寒がりな人は、背中を温めてみてください。背中を温めると体幹全体の血流が改善し、深部体温が下降する準備が整うのです。しかも背骨の両脇には「交感神経幹」が走っています。ストレスで緊張していると、この神経幹が過敏になり背中がこわばります。背中を温めると筋肉がゆるみ、血流が回復し、神経の過活動が抑えられます。結果、副交感神経が優位になり、寝つきが早くなるわけです。
具体的には、肌着とパジャマの間にフェイスタオルを入れて、上部は折り返してパジャマの外側に、下部はパジャマのパンツの中に入れます。そのほか、専用の商品も販売していますので、参考にしてみてください。 ≫ シルク インナーベスト
そして、寝室という空間全体を温めておくことも大切です。冬は18~23℃を目安に調整してください。健康的に過ごすには「室温は18℃以上」をいう指標を、WHO(世界保健機関)が定めています。暖房と加湿器を適切に使いましょう。
以上をまとめると、
・寝る前に布団の中を人肌程度に温める
・「お腹・足元・背中」を保温する
・パジャマは「首・手首・足首」がすぼまったデザインを選ぶ
・寝室の温度は「18~23℃」に。暖房と加湿器を活用する
冷えを放っておくと、体全体の血流が滞り、自律神経のバランスが乱れます。それが肩こりや便秘、免疫力の低下につながることも。適切に体を温めてぐっすり眠り、健康的な毎日を過ごしましょう!
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