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  • 執筆者の写真三橋美穂

44. 節電しながらぐっすり眠る、夏の快眠法

(2012/07/01)

東日本大震災の影響で電力不足の夏を迎えた昨年は、「節電しながら、ぐっすり眠れるコツを教えてください」という取材が、本当に多くありました。今年もその状況に変わりありません。なぜ夏に寝苦しいのかといえば、日本の夏は高温多湿のため、睡眠中に背中が蒸れてくるからです。

布団の中の温湿度のことを寝床内気候(しんしょうないきこう)といい、一年を通して、温度は体温よりやや低い33℃±1℃、湿度50%±5%が快適と感じる指標とされています。実際には、湿度は40~60%なら許容範囲内と思っていますが、夏には80%を超えることも。それが中途覚醒の原因になります。

これを解消するためには、 1、エアコンや扇風機で、寝室の温湿度を調整する 2、背中の蒸れを防ぐ、涼しい敷き寝具を使う この2つを上手に組み合わせることがポイントです。

ある調査では、「昨年、涼感寝具を使わなかった」と回答した人は7割に上りました。あれだけ夏の快眠寝具が紹介されていたのに、私はこの結果に驚きました。寝具の工夫なしで、エアコンと扇風機だけで快適性を保とうとすると、身体が冷えすぎるからです。

寝具で一番気を配りたいものは、敷きパッド。敷き布団が背中に密着しないよう、少し硬めのものがおすすめです。い草や竹のシーツや、吸放湿性のよい麻わたの敷きパッド、背中に風が通る送風パッドなどは、涼しく眠れます。

逆に気をつけたいのは、敷きパッドの中身にポリエステル綿が詰まったものです。たとえ表面に接触冷感の生地や麻を使っていても、敷き寝具が背中とピッタリ密着していれば、しばらくすると蒸れて暑くなってきます。

昨年の取材で特によく聞かれたのは、 「エアコンも扇風機も使わずに、家にあるものを使って眠れる方法を教えてください」 ということでした。これには本当に困りましたが、いろいろ考えて試してみました。その中で効果があったのは、背中に小さなダンボールを当てることでした。

A3サイズくらいの硬めのダンボールを用意して、腰の上~肩甲骨にかかるくらいの場所に横位置で置き、シーツをかけます。ダンボールのサイズはこれが最適で、大きすぎても小さすぎても用をなしません。横向きで寝たときに、肩が乗らないサイズがベストです。

そして入眠時にプラスすると、さらに眠りやすくなる方法は、後頭部を冷やしながら、首を温めること。脳の温度を下げながら、首を温めることで血流もよくなり、深部体温を下げるための放熱が促進されます。

具体的には、冷蔵庫で冷やした保冷剤をハンカチで包んで枕の中央に置き、蒸しタオルをポリ袋に入れて首を温めます。すると、スーッと気持ちよく眠りにつくことができます。背中ダンボール+頭冷やし+首温め、この3つを同時に行うと、朝まで目覚めずに眠ることができました。

ただし暑さを我慢しすぎると、夜間の熱中症になることが懸念されるので、28度設定のエアコンか、微風の扇風機を天井に向けて、併用することをおすすめします。節電が続く今年の夏、どうぞ試してみてください。


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